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漫画『イノサン』『イノサンRouge』が話題沸騰中!! 世紀の天才漫画家・坂本眞一SPECIALインタビュー連載!(全6回)

2019年2月10日更新


第1回 

残酷で血塗れなのに、ゴージャスで精緻で美しすぎて…。
今、超話題の、とてつもない漫画『イノサン』『イノサンRouge』。
こんな凄い漫画を描く坂本眞一さんって、どんな人!? 
どんな学生時代を過ごしていた?

『イノサン』第1巻 坂本眞一著、集英社発行

『イノサンRouge』第1巻 坂本眞一著、集英社発行

 

ケラっこの皆さんには、漫画『イノサン』『イノサンRouge』をご存知の方が多いかもしれませんね?「イノサン」とはフランス語で「無垢な」「無邪気な」「無実の」「純粋な」という意味なんです。フランス革命時を舞台に描かれた漫画作品で、主役はこの2人。

まず、18世紀のフランスに実在した、処刑人のシャルル・アンリ・サンソン。後にルイ十六世とマリー・アントワネットを斬首する男です。本人はいたって優しい男で、処刑対象が罪人であろうが、そもそも人に苦痛を与えるのを好まなかったとか。特にルイ十六世のことは敬愛していたとも。苦悶の人生を送ったといわれています。



そしてシャルル・アンリ・サンソンの妹、マリー・ジョセフ・サンソン。兄とは違い血を好み、女ながらに、処刑人として生きることを天職と受け止め、嬉々として血塗れ仕事に向かっていくのです。こちらはほぼ坂本さんのオリジナルキャラクターです。

こんな2人を中心にしたパリの処刑人サンソン一家と、ルイ十六世、王妃マリー・アントワネットなどブルボン王朝など王侯貴族、革命家、庶民などなどが、華麗なヴェルサイユ宮殿とパリを背景に、血の色に染まっていく歴史上のお話をベースに描いた漫画が『イノサン』『イノサンRouge』です。

フランス革命という、誰もが知る、歴史上最もドラマティックな史実を元にしたストーリーも抜群に面白いのですが、絵の緻密さや完成度は、他に比類を見ることはできないもの。読者は、その正確さや美しさにただただ息を飲むばかりです。

「この作品を描く漫画家・坂本眞一さんとはどんな人なのか?」「いったいどうやって作品を作っているのか?」などなど、坂本さんの作品の凄さにハマった人間にとっては、知りたいことが、それはもうたくさんあります! しかも2018年末にはAppleより画集発売され、2019年末には、舞台化することが決まったばかりとあって、たいへんご多忙な中なのですが、長時間のインタビューに答えてもらいました!

今、最も旬な漫画家・坂本眞一さんの、興味深すぎるお話を、全6回・6週に渡ってお楽しみください!

こちらがアトリエで執筆中の坂本眞一さんです!
インタビューの日も、アシスタントさんを全員呼んで、みっちり1日ペン入れの日でした…!

 


まず第1回の今回は、漫画家を志した、学生時代のお話を紹介いたします!

イラストを描いてラジオや雑誌に投稿しまくり…!
学生時代は、はがき職人さながらだった

ーー坂本さん、こんにちは! 今日の取材ですが、「自分も漫画を描いてみたい」というケラっこ読者が結構いる気がしているんです。ケラ!が紙媒体だった時、読者のページにはたくさんのイラストが投稿されていたので…。なのでまず、坂本さんがまだ漫画家になる前、学生だった頃からのお話を伺いたいと思います。どうぞよろしくお願いします。

坂本 こちらこそよろしくお願いします。

ーー坂本さんが初めて漫画を描いたのはいつでしょうか?

坂本 高校生の時、高校2年生の夏か秋くらいです。

ーー漫画家になりたいと、高校時代から思っていらしたんですね?

坂本 いや、実はそんなには…(笑)。高校卒業後の進路を決めなければいけない時期がきたからなんです。僕、進学して勉強もしたくなければ、会社に就職もしたくなかったんですよ。それで「少年ジャンプ」だけは夢中で読んでいるジャンプっこだったし、絵がうまいと言われていたから、「漫画家になればいいのでは」と閃いたんですね。つまりすごく漫画家になりたいわけではなかったけど、とにかくもう家も出たかったし、他に考えられる選択肢がなかったんです。

ーー高校時代から、ご自分は絵がうまい、という自負はあったわけですね?

坂本 うーん、当時は。でも職業漫画家になってからは、自分は絵がうまいと思えなくなっているし、今もそうなんです。

ーーええ!?

坂本 確かに高校時代は学校内では一番うまかったんです。賞品が欲しくて、よくテレビやラジオ、雑誌にイラスト付きではがきの投稿もしていました。転入生で絵がうまい奴が現れた、って聞くと「なに、俺よりうまいやつがいる?」と勇んで転入生を見に行ったりしたことも。

ーー学生時代ははがき職人でしたか!では少なくとも当時は、当然画力に自信はあったわけですね。そしてどのようにデビューへの道を?

坂本 とりあえず見よう見まねで31ページ描いて「少年ジャンプ」に投稿しました。描き方なんて本当に知らなくて、ネーム(絵コンテともいう。下描きの前の過程)すらしなかったから、ひとコマずつ描いていって、最後のほうでコマ数が足りなくなって、むりやり押し込んで強引に終わらせるという。

ーーその作品の応募の結果はどうでしたか?

坂本 370通くらいの応募作があったそうですが、2位を受賞しました。で、編集部から電話をもらって「君、ネームっていうものを知らないの?」って言われました(笑)。

ーー「漫画家になりたい」と学校の先生には話しましたか?

坂本 はい。でも先生からはなっから「無理」って言われていました。その後進路指導の時間は「坂本は帰っていいぞ」って言われてひとり教室を出ていったことも…。大阪なんで、「あいつは吉本興行に行くんやろ?」って言われていたみたいです。

ーー誰にも漫画家になる、って言わなかったんですか?

坂本 限られた友達にしか言わなかったです。実は当時宮崎勤の事件があって、漫画家ってちょっと言いづらい時代だったんです。

ーー今や世界中でもてはやされているジャパニーズ・コミックですが、漫画家にはそんな負のイメージがつきまとう時代もあったわけですね。

江川達也先生のアシスタントは、絵がうまい人ばかり。
プライドはずたずたに引き裂かれた

ーーさて漫画1作めを描いたその後はどうなったのですか?デビューへの道のりを教えてください。

坂本 担当さんから「とにかく次の漫画のネームを早く上げろ」とかお尻を叩かれて…。僕、高校生だったのに(笑)。授業中も漫画のことばかり考えていましたね。それでなんとか3年生の冬に4作めが入選して受賞金30万円をもらい、それを足掛かりにあまり多くの人には伝えずに、卒業後静かに上京しました。

『キース!!』の原稿がこちら! 印刷所に入稿する際汚れないよう、編集部でトレーシングペーパーを掛けている

『キース!!』受賞記念盾。坂本さんの仕事机のすぐ側に置かれています

受賞した頃の18歳の坂本さん、大阪の自宅にて



ーー高校卒業直前にラッキーですね!間に合ったというか…。厳しく高校生のお尻を叩いた担当さんのおかげかもですね(笑)。では上京してからは?

坂本 ひとり上京して生活するには30万円なんて全然足りないんで、江川達也先生のところでアシスタントを募集していると聞いて、手伝わせていただくようになりました。

ーー江川達也さんのところでアシスタントとして認められる、ってことはやはり絵が飛び切りうまかったわけですよね(笑)。

坂本 いや、それが…。隣に座っているアシスタントの先輩がすごい絵を描いているんですよ。その先輩のカットが眩しくて眩しくて。なんでこんな線が引けるんだろうって、自分でも何回もやってみるんだけど、引けない。上京して1週間で、「自分は絵がうまい」というたったひとつのプライドが、ぼろぼろずたずたになったんです。

 


学生時代には「誰よりも絵がうまい」と思っていた坂本さんが、プロの漫画家さんや漫画家アシスタントさん達と並んで、すっかり自信をなくしてしまった…。しかもなんとか連載仕事をもらったものの、なかなか人気が出ない…!?
次回は焦って自分自身を見失っていく、坂本さんの自称「暗黒時代」についてを語ります!漫画家さんって、デビューするまでより、デビュー後のほうが数倍大変らしいですよ…!? どうぞお楽しみに!


坂本眞一(さかもと しんいち)
1972年大阪市生まれ、91年『キース!!』でデビュー。2010年『孤高の人』で第14回文化庁メディア芸術祭漫画部門最優秀賞受賞。2016年パリ・ルーブル美術館からの招致で「ルーブル美術館BDプロジェクト」に出展。現在は『イノサン』に続き「グランドジャンプ」で『イノサンrouge』を連載中。公式サイト(試し読み可)https://youngjump.jp/innocent/


インタビュアー/鈴木真理子(すずき まりこ)
雑誌「KERA」「Gothic&Lolita Bible」「KERAマニアックス」の創刊編集長をつとめ、その後も「ETERNITA」「Miel」「tulle」などファッション雑誌の立ち上げを手伝う。原宿系ファッション、そして様々なカルチャーやアートが大好物!

 


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