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19歳の時から今のまま! 原宿に住む81歳のイラストレーター 田村セツコINTERVIEW(全10回)

2019年6月2日更新

原宿に住む、元祖ケラっこスタイル(!?)の田村セツコさん。実は昭和の頃に大ブームを起こしたイラストレーターで、81歳の今も引く手あまたの売れっ子。原宿には今から40年前、お店などほぼなかった頃からお住まいなのだそう。服装や髪型は19歳からのまま変わらないそうで、お仕事で描かれる絵に大きな変化もない。自分の感性を信じるままに生きてきた、セツコさんのライフスタイルに迫るインタビューです!

 

第3回

 

会社を辞めてイラストレーター1本に。
電車代すらなかった日々に
チャンスが訪れる……!

1960年「こんにちは おじょうさん」。
雑誌『りぼん』(集英社発行)より

 

ーー前回は、高校生のセツコさんが、画家の松本かつぢ先生のところでイラスト描 きの指導を受けながらも、結局銀行員として就職した、というところまでお伺いい たしました。その後のセツコさんは……?

セツコ 銀行員になってからも、かつぢ先生のところには通い続けていたんです。 で、お邪魔すると各出版社の編集担当の方も出入りしているので、先生が紹介して くれるんですね。それで雑誌の小さな仕事をもらうようになりました。そんなわけ で銀行での仕事も、イラストの仕事もやるようになりました。銀行の仕事と母の手 伝いの間に、そういう時間を入れるのがとても楽しかったんです。

ーー会社に勤めながら別の仕事をするのは、心配になることもありますものね!

セツコ どちらの仕事も楽しかったです。でもそろそろどちらかに決めなきゃまず いなって思う時期がきて、1年で銀行を辞める決意をしました。

ーーご両親にも相談しましたか?

セツコ はい。「後悔しません。グチは言いません。金銭的に頼りません」という 3つの誓いを立てて、退職を許してもらいました。

ーーその後は順調にイラストレーター1本でやっていけましたか?

セツコ いえ。結局1年間は、仕事がなくて大変でした。結局お金は足りなくなっ て母に借りました。出版社までの交通費とか……。「あー、会社やめなきゃ良かっ たかしら」とかいろいろ思ったんですけど……。

ーーどんな仕事を受けていたんでしょうか?

セツコ いろんな編集部に出入りしていたんですけれど、仕事はあっても、タイト ルのはじっこに小さなカットとかページの上の飾り罫とか。女の子を描いて、なん て注文されることはなかったです。

ーー今ですと、デザイン素材集に入っているタイプのものですね!

セツコ それがある日講談社の『少女クラブ』編集部から連絡があって、「急病になった先生がいて、代わりに明日午前10時までにイラストを描いてくれる人を探 しているんだけれど、描けますか?」って。即座に「はい!」って返事して、その 時初めて女の子の顔を描けたんです。ユーモア小説の挿し絵で、私もそういうの好 きだったんですよね。お茶目な女の子が好きだから……。


1958年、「少女クラブ」より。
女の子を初めて描かせてもらった時の誌面。

セツコ その雑誌が出たらすぐに、あちこちの編集部から速達が届いて「田村さん が『少女クラブ』で描いたような絵をうちにも描いて欲しい」って。ここでやっと 頼まれる仕事が飾り罫から女の子に代わり、仕事も忙しくなりすぎるほどになりま した。

ーー仕事があまりなかった1年間は、どう過ごされたのですか?

セツコ 時間がすごくあったので、出版社の小学館や集英社のある神保町に行った 時は近くの古書店で、海外のファッション雑誌を手が真っ黒になるまで立ち読みし たり。それで1冊だけって決めて買って、素敵なページをスクラップしていまし た。
 3本立ての名画座にもよく行きました。当時だとオードリーヘプバーンのファッ ションとかヘアスタイルとか素敵で。映画館には良いモデルがいるって思いまし た。

 暇な時間の、その古本と名画が私にとってお勉強になったんだと思います。イラ ストに活かすことができましたから。

ーーなるほど。暇な時間に磨いたセンスが、思いがけないピンチヒッターとしての 仕事で活かされたわけですね!


ーー次回は、超売れっ子イラストレーターとなり、眠る暇すらなかった頃のセツコ さんのイラスト作品を紹介します!貴重な画像がいっぱいです!お楽しみに♥

 


田村セツコ(たむら せつこ)
イラストレーター、エッセイスト。
1938年2月4日、東京生まれ、B型。高校卒業後、銀行の秘書として働きながらイラストレーターに。1960年代に雑誌「りぼん」「なかよし」のおしゃれ提案ページで活躍、70年代には多くの文具や雑貨の会社と契約、セツコグッズは大ブームになった。サンリオ「いちご新聞」では創刊の75年から現在までイラストエッセイを連載。80年代は『おちゃめなふたご』など名作シリーズの挿し絵を描き、今も続くロングセラーに。田村セツコオフィシャルブログでは、アリスみたいに奔放に毎日を好奇心いっぱいで飛び回るセツコさんの姿が見られます!https://ameblo.jp/setsuko-tamura/

 

ーーセツコさんの著書ーー


『田村セツコ HAPPYをつむぐイラストレーター』河出書房新社刊、内田静江編、1,600円

『孤独をたのしむ本 100のわたしの方法』興陽館刊、田村セツコ著、1,388円

ーーセツコさんの個展ーー



現在、とちぎ蔵の街美術館で田村セツコ展開催中です!8月4日(日)まで、セツコさんと縁がある栃木市のとちぎ蔵の街美術館で、初期の貴重な作品から最新作まで、セツコさんの長きにわたる幅広い活動を紹介しています! イラスト原画、油彩、コラージュ、グッズ類など、多彩な作品を通じて、ハッピーな気持ちになれる展覧会です。


会期/2019年4月27日(土)~8月4日(日)
開館時間/午前9時~午後5時(入館は午後4時30分まで)
休館日/毎週月曜日(祝日の場合は開館し、翌日休館)
観覧料/一般(高校生以上)500円(300円)、中学生以下は無料 
()内は20名以上の団体割引料金 
*身体障害者手帳、療育手帳、精神障害者保健福祉手帳の交付を受けている方とその介護者1名は無料 
主催/栃木市、栃木市教育委員会、とちぎ蔵の街美術館
後援/朝日新聞宇都宮総局、産経新聞社宇都宮支局、下野新聞社、東京新聞宇都宮支局、毎日新聞宇都宮支局、読売新聞宇都宮支局、株式会社エフエム栃木、栃木ケーブルテレビ、株式会社とちぎテレビ、株式会社栃木放送

問合せ先/とちぎ蔵の街美術館
〒328-0015 栃木県栃木市万町3番23号
TEL:0282-20-8228 FAX:0282-20-8227
E-mail: k-museum@city.tochigi.lg.jp

ホームページアドレス
https://www.city.tochigi.lg.jp/site/museum/

 

ーーセツコさんが講師をつとめる講座ーー
★「ようこそ!セツコの部屋へ」
毎月1回開催

東京・西武百貨店池袋本店・別館8・9階 池袋コミュニティ・カレッジ
☎︎03・5949・5486(代表)
https://cul.7cn.co.jp/programs/program_707164.html

 


協力★弥生美術館、とちぎ蔵の街美術館
取材・文★鈴木真理子

 


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